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研究結果発表 「シーツの違いが低温環境での入眠過程に及ぼす影響」

シーツの違いが低温環境での入眠過程に及ぼす影響

平成29年10月28日(土)日本衣服学会第69回(平成29年度)年次大会にて
平成30年7月13日(金)日本睡眠学会 第43回定期学術集会にて
水野一枝先生(東北福祉大学感性福祉研究所)
水野康先生(東北福祉大学教育学部)
須田理恵先生(文化学園大学)
梯恒三(龍宮株式会社)

【目的】
これまでに、敷き寝具に関する研究は多数報告されているが、シーツに着目した研究は少ない。そこで、本研究ではシーツの違いが低温環境での入眠過程および寝床内気候に及ぼす影響を検討することを目的とした。

【方法】
研究実施にあたり、東北福祉大学研究倫理委員会による審査・承認を受けた。被験者は書面による同意の得られた、心身ともに健康な若年男性14名(21.6±1.2歳)とした。実験条件は、平織(綿100%)のシーツ (条件C)と、脱脂綿を医療用ガーゼで包み、キルティング状に縫製した3層構造のシーツ(条件P)に就寝した場合の2条件とした。両条件ともにベッドを用いて、敷き用としてマットレス、ベッドパッド、掛け寝具として羽毛布団1枚を用いた。着衣は、長袖・長ズボンの綿100%のパジャマとショーツであった。被験者は、20~22℃ RH30~50%に保たれた前室で安静を保った後、13:00に15℃ RH60%に保たれた人工気候室に入室し、13:10~15:10まで就寝した。測定項目は睡眠脳波記録、皮膚温、衣服内気候、寝床内気候、睡眠前後の温冷感、快適感、睡眠感、寝具に関する主観申告であった。

【結果】
睡眠変数では、条件Pで条件Cよりも有意に入眠潜時が短縮し、睡眠段階3と徐波睡眠が増加した。皮膚温では条件による有意差は見られなかった。寝床内温度では、腰部のシーツ下の温度が条件Pで条件Cよりも有意に高かった。寝床内湿度は、胸部、背部、足部で睡眠前半のみ条件Pで条件Cよりも有意に低かった。OSA睡眠調査票では、条件Pで条件Cよりも寝つきが有意に高かった。入床時の主観申告では、背・腰部が条件Pで条件Cよりも有意にふっくらし、さらっとし、快適感も快適側であった。

【結語】
低温環境でのシーツの違いは、皮膚温や寝床内温度に差はなくとも、入床時の快適感、入眠潜時や徐波睡眠、主観的な寝つきに影響を及ぼす可能性が示唆された。


シーツの違いが低温環境での入眠過程に及ぼす影響